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黒鉛の特性
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黒鉛とはどんなものか?

カーボン関係に従事されておられる極めて一部の人々を除いて一般の方々には殆ど知られていない鉱物でありますが、私どもの日常生活に欠くことのできない鉛筆、乾電池、自動車関係、船舶関係、電気製品等に使用され、また特に近年に至り耐火材料の分野では著しく重要な地位を占めております。その他間接的 には後述するような多くの用途に使用され、私共の生活を豊かにしてくれる蔭の働きを果たしているものです。 天然に産する結晶質炭素には同素体をなすダイアモンドと黒鉛があります。 この天然黒鉛は石炭と同じように鉱山から掘り出される、黒または銀黒色をもった炭素のかたまりで若干の水分、揮発分、灰分を含み、硬度はモース1~2の軟らかく脆い鉱山です。

黒鉛は昔plumbargoとかBlack Leadなどと呼ばれていましたが、現在では一般にGraphiteと呼ばれています。 黒鉛という名称はBlack Leadが直訳されたものと思われますがこれは鉛ではなく純粋な炭素でありますから毒性は全くありません。 英国で初めて発見され、その後ドイツでも発見されババリヤ地方で早くから鉛筆の芯に使用されていたようでGraphiteの語源もギリシャ語のGrapho(われ書く)から出たものといわれ、よくすべり、黒い色がつく性質を利用して、字や画を書くことから私共の生活の中に入り込んで来たようです。 しかしながら、黒鉛が近来非常に重要な原料として脚光を浴びるようになったのは黒鉛の性質が極めて安定した炭素であり電気抵抗が低く、耐熱性があり、これを原料として電極が発見され、3,000度の高熱を発生して鉄や石炭石を溶かすことが出来るようになったからです。 製銅、カーバイト、石炭窒素肥料、ビニール、合金鉄などの生産に多量使用され天然黒鉛だけで戦前は年間10万トン以上の需要がありましたが、現在は人造電極の著しい発達により次第に減少し、年間5~6トンの需要です。

工業材料としての黒鉛はコークス、タール、ピッチなどの高温で黒鉛化処理した人造黒鉛と天然黒鉛に大別されます。天然黒鉛は産地により鱗状黒鉛、土状黒鉛 に分類されます。鱗状黒鉛はスリランカ(セイロン)、マダガスカル、ロシア等で産出します。スリランカの鉱山では黒鉛が岩石のように塊状で採掘され、その塊は非常に品質が高く、98~99%にも達するものもあり60~97%の品位のものが日本に輸入されています。他の産地の黒鉛は鉱山で簡単に選鉱を行い、炭素分70%以上で輸入されています。 鋳物用などにはそのままの品位で使用され、潤滑用などの高純度品は98%近くまで精製を行い粉砕、分級して各 種の製品となります。 天然鱗状黒鉛は非常に軟らかい潤性のある結晶鉱物でかなり耐熱性もあり、科学的にもある条件以下は殆ど安定であり、熱及び電気の良導体です。

黒鉛の特性

黒鉛(Graphite)はダイアモンド炭素(Carbon)と共に元素記号Cであらわされている炭素の同素体であり、一般に光沢のある、非常に柔らかい、潤滑性に優れた層状結晶鉱物である。

潤滑性

潤滑性に優れ、特に高温、高荷重環境での潤滑剤として、または離型剤として使用されています。
鱗状黒鉛の層は、はがれ易く、水平方向に完全劈開の性質に起因しています。

耐薬品性

酸、アルカリ両方の薬品に対して安定であり、高い耐薬品性を示します。

熱伝導性

黒鉛の熱伝導率は金属に近い熱の良導体です。黒鉛結晶の自由電子により特に結晶面(横)方向に対して高い熱伝導率があります。

電気伝導性

電気抵抗値は1375.0×10 ^-6Ωcmで、銅、銀、金等の金属に比べやや劣りますが、黒鉛は銅に比べ酸化しにくく、銀、金に比べて安価な為、広い用途で使用されています。

耐熱性

黒鉛の耐熱性は、硫化雰囲気では550度前後で酸化がさかんになるが、還元雰囲気および真空中では3,400度の昇華温度までの耐熱性がある